
この夏は実家に帰省しますか?
行動制限も緩和されたいま、今年こそ夏季休暇を利用して実家に帰ろう、という方も多いのではないでしょうか。
先日、女性タレントの実家の処分について記事が出ていました。空き家になった実家を25年にわたって維持し続けた結果、トータル1800万円以上の費用がかかってしまったというお話でした。
思い入れのある家をそのまま残しておきたい気持ちは多くの方が同感されると思います。
家族・親戚が実家に集まるお盆やお正月は「実家」のこれから先のことをどうするかについてみんなで考える、数少ない機会です。
ゆくゆくこの実家を「誰が」「どう」利用するか
親御さんがまだまだご健在で、何不自由なく暮らしていらっしゃるのでしたら、この「実家をどうするか」なんて考えること自体、はばかられるかもしれません。
親世代が一生懸命建てた家。自分たちはそこで育っていっぱい思い出の詰まった家…。
いずれどのように処分するかなんて考えただけでもさびしくなりますね。
けれど、時間は刻一刻すぎていきます。いつかはその時がくることは間違いなく、問題を先送りしても、結局さいごは何とかしなければならないのは同じことなのです。
多くの場合、実家の処遇については、親御さんが施設に入ったり、あるいは残念ながら亡くなってしまったり、そのことがきっかけでようやく次の段階に踏み込むことになります。
みんながみんなではないでしょうけど、この時点になると、たとえきょうだいや親戚同士でも、なにかしら感情の差が生まれやすくなると思うのです。
ですからまだ早いと思われがちですが、親御さんも含めてきちんと話し合いのできるあいだに、ゆくゆくこの実家を「誰が」「どう」するかの筋道をつけておきたいものです。
これからますます増え続ける「空き家」
実家が使われなくなるとそのまま「空き家」になる、その可能性もあります。
みなさんの周りでは空き家事情はいかがでしょう。
2018年のデータでは住宅総戸数のうち約850万戸が空き家、約14%弱ですから7軒に1軒の割合で空き家が存在していることになります。
これが20年後になると約30%、3軒に1軒の割合まで増加するのでないかという見方も出ています。
もちろん日本が少子高齢化により人口減少、そのため住宅需要が減少というところはありますが別の要因もあります。
以前から日本人の住宅に対する「新築志向」の高さから、積極的に新築住宅が供給され続けました。それが世帯数の増加よりもはるかに多い住宅ストックを生み出すことになったのです。
それに加えて、古い家を解体して更地にすると住宅用地としての固定資産税額の軽減が無くなるので、そのまま空き家でも建物を残したままにしておくケースが非常に多いのです。

しかし近年、増え続ける空き家対策として、空き家の所有者が著しく管理を怠って放置していると、場合によっては行政から指導が入り、住宅が建っていても更地と同じ税金(固定資産税)を掛けられる制度もできました。
空き家問題がこれからますます注目されていくなかで、これまでとは違ってとりあえず実家を使わずに長年そのままにしておくことは今後難しくなりそうです。
最後はやっぱり売却?
おそらく親世代が住宅を手に入れた時代には将来人口が減る気配もなく、土地や家屋は資産として残せるし、また子や孫や誰か使う人がいる、といった予測しかなかったかもしれません。
核家族化が進んで子供世代が別世帯で家を持つことが当たり前になったいま、実家は親が住まなくなった時点で空き家として残ってしまうのです。
他人に貸したり自分たちが使ったりすることがなければ所有しているだけになってしまいます。
古くなった実家はそのまま残しておくことは維持管理の面で現実的ではないですし、いつかは自らの手で処分を考えなくてはなりません。
結局選択肢として、売却という答えになるのでしょうか…。
いまや「売れるところはまだマシだ」とも言われたりします。
値段がどうのこうのの問題でもないような気がします。
とにかく空き家になってしまった実家は、売れるまでは適切に管理しておいて、なるべく所有期間を短くおさえたいところです。
さて、実家をどうするか問題、はたして集まったみなさんの意見はどうでしょうか…?
デリケートな問題なのでなかなか踏み込みにくいかも知れません。
けれど今すぐどうのという話ではないにしろ、その時が来たら「誰が」主導で「どのように」だけでも方向性を相談しておきたいですね。