古いマンション、売れなくなってきた?

(本文とは別のマンションです)

最近あなたの住んでるマンションで、「あの部屋かれこれ長いあいだ売れてないなぁ…」っていうようなことはないですか?

ここは大阪通勤圏の昭和50年代半ばに建てられた分譲マンション。
とりわけ駅近ということはありませんが徒歩圏ですし、商業施設に恵まれ学校も近く、目立った空室もほとんどない状況です。

ひとつ、ここ数年で変わってきたことがあります。それは売買される件数です。
総戸数約80戸ですからそれほど頻繁ではないものの、以前は1年間のうち1~2件ほどの取引があったようです。

現在このマンションでも売り出し中の部屋があります。
築年数の加減で高い金額がついているわけでもなく、むしろ値ごろ感があると思うのですが、いっこうに売れる気配がないまま半年以上経過しています。

ここに限らず近隣でも築年数が同じようなマンションは最近目立った動きがありません。どういうことでしょうか?

旧耐震基準だから?

昭和56年6月よりも前に建築確認申請が出されたものは「旧耐震基準」といわれる建物です。

築年数の古いマンション、とくにこの「旧耐震基準」のマンションに関しては、一般的な住宅ローンが利用しにくい、もしくは全く適用してもらえなくなっています。

以前から旧耐震基準のマンションについては、審査にのるのらない以前にそもそも住宅ローン適用物件の対象外とされていることはあったのは確かです。
しかしそれは大前提としてであって、ローン申込者の属性などにより案件個別に対応する銀行もあったのですが…。

つまり、こうしたマンションは売りに出しても、住宅ローンに比べて金利が高いそれ以外の融資を利用するか、一括キャッシュで購入できる方以外は買うことができません。

このようなことから市場での流通性はふつうにローンが利用できる物件に比べて低くなります。

居住用住宅を「資産」とする空気

古いマンションは仮にいま何らかの方法で購入することができたとしても、こんどは将来売りたいときに思ったように売れない可能性が高くなるということです。

最近では自己居住用のマンション保有に関しても、都市部を中心に値上がりを期待した「投資」としての意味合いを強く求められる風潮があります。

そういったところと比較して値上がりが望めなかったり、現金化しにくかったりする不動産については資産価値という側面からマンションに限らず避けられやすいという傾向です。

いざとなったとき動かすこと(現金化)ができないものを「資産」として考えるか、その辺りの判断は分かれるでしょう。

個人個人で考え方はそれぞれでしょうが、「住む」ことを第一とすれば必ずしも「資産」でなくても良いのではと思います…。

人口減少でも供給され続ける住宅

2008年から日本の人口が減少に転じて早や10年以上、みなさんの周りでも空き家が増えてきた印象はありませんか?
地方に限らず都市部でも大きな問題になりつつあります。

空き家の総数は年々増えているのに「空き家率」はほぼ横ばいって知ってましたか?
それもそのはず人口減少下においても新しく住宅が供給され続けているために、住宅の総数は一向に減ることもなく、空き家率の上昇をおさえられているのです。

日本では昔から新築志向が非常に高いです。
性能の高い新しい住宅が増えること自体は悪いことではありません。

ただ建てるばかりで片づけるほうをどうするかの議論が未だすすんでいないのはバランス的にどうかと思うのです。

中古住宅のストックが増えていくと、築年数で競争に不利な古いマンションなんかは住宅取得を希望する人たちの選択肢の優先順位から抜け落ちていきます。

海外に比べて中古住宅の流通市場はかなり小さく、伸びしろがあるように報じられますが、新築主導の社会構造やそれを好む人の心はそう簡単には変わりません。

あえてわざわざそれを選ぶ?…という感じでしょうか。

それでもまだ現役?

古いマンションは立地が好条件のところも多く、敷地である土地の評価が比較的高いのかどうか、固定「資産」税はそれなりにかかっていたりします…

登記の際の登録免許税など「古い方がなにかと高くつく」こともあります。
築20年または築25年(耐火建築物)で区分され、家屋を取得した後の不動産取得税の軽減税率の適用有り無しなどもこの年数で区分されます。

いまのところ住んでいるマンションは管理組合も正常に機能していて、日常適切に管理され美しく保たれており、定期的な改修も行われています。
とりたてて大きな問題が出てくる気配はありませんし、何不自由なく便利に生活していけます。

でも、あと何年くらいだいじょうぶなんだろうか。

日本における鉄筋コンクリート建物の寿命に関してはいろいろあるようですが、よく出るものとすれば…
・国土交通省の調査では「コンクリート造の建物の寿命は120年」
 リフォーム等の延命措置があれば最長で150年!
 (※ただし新耐震基準の建物で、かつ適切に維持管理・メンテナンス・補修をした場合)
・取り壊しまでの平均は…「68年」。(2013年 国土交通省)
・(参考)マンションの法定耐用年数…「47年」。
 これは年々減価償却していって帳簿の計算上ゼロに到達するという年数です。
 なので寿命や残存価値を表すものでは決してありません。

築40年そこそこであれば、まだまだ現役のようです。

いつか起こる地震のリスクは?

耐震基準の違いによるリスクの差はあれど、いずれどこでも起こりうる地震災害で実際の震源・震度や揺れ方によってどの基準までが安全かどうかはわかりません。

旧耐震基準の建物の方が過去の大地震の際に被害の確率が「比較的高かった」というのは事実です。

しかし個別にみれば立地(海に近いかどうかなど)や建物の構造また形状、建てられたときのコンクリートの質によっても違いが出ます。

たとえ新耐震基準で昭和57年以降に建ったマンションでも決して倒壊しないという約束があるわけでもなく、もう数十年経過しています。

長年の環境の変化もあるでしょうし、もちろん修繕・メンテナンスや改修の度合いによっても各棟の建物の状態は異なってきています。

人間の体と同じ、年齢ひとくくりで一概には言えません。

建て替えには各所有者に費用負担?

今のところ建替えの話や耐震診断・耐震補強工事の予定がなくても、近い将来必ずその時がやってきます。
各所有者にはどのような形でどれだけの費用負担が発生するか、このまま住み続けることができるかどうかなどという不安があります。

ですが建替えには全体の5分の4の賛成という高いハードルが存在します。
高額な出費を伴うかもしれない事柄について賛成多数でそう簡単に決まるとは思えません。

まぁこれについてはたとえ築年数が浅いマンションでも年数が経てばゆくゆくは必ず発生する問題なのですが…。

この建替え問題解決について、参考のためと思って事例を探してもあまり紹介されている様子がないのですが、結局要は非常に少ないということです。

これからは各地のマンションでこういった話がどんどん表面化するはずです。

防災上の目的で老朽化した建物の耐震化や建替えを進めていこうとするならば、市民の賛同を得られやすい、もっと何か具体的な方策が示されても良いのではとも思います。

古いマンション売れない? まとめ

古いマンション、売れにくい理由はやっぱりひとつじゃありません。

・旧耐震基準は住宅ローンがむずかしい
・それゆえ不動産市場の流通性が悪く資産としての魅力が低い
・地震のリスクを考えてしまう(誰も実際どうなるかわからない)
・そもそも古い
・建替え問題がいよいよ始まってくる気配
・次々新築が供給されるため住宅総戸数が減らない

売れないことを悲観してばかりいても仕方ありません。結局は価格(そのときの「相場」)で対処するほかないでしょう。
むしろこの先を考えた場合「値が付く」だけ良いのかも知れません。
その中で最善を尽くしてできるだけ希望に近い価格で売却できるよう、不動産屋さんと相談してみましょう。

逆に購入しようという方は以上のポイントを踏まえたうえで納得のいく物件と出会って欲しいものです。

「売れにくい」ことと「住みにくい」こととはイコールではありません。

購入費用の安さだけでなく、住んでみなきゃわからない良さのほうが「売れない理由」よりもはるかに多いことが分かっていただけるのではないかと思うのです。