実際、売りに出すかどうかは別としても所有する不動産の価格を知りたいという方は多いと思います。
昔と違って業者に価格査定を依頼するにもインターネットの普及でとても簡単にできるようになりましたが、それとともに一般の方でもさまざまなデータが得られる環境になりました。
今年も3月、1月1日時点の公示地価が発表されました。

あなたが知りたい「価格」とは?

公示価格とは「公示地価と基準地価」の2つ

公示価格は「公示地価(地価公示価格)」と「基準地価」のことをいいます。
テレビでみかける、どこどこが何年連続最高価格地点とか、どこどこで最大の下落幅を記録…というのはこの公表のニュースです。
全国の土地(不動産)の売買が正常な価格で取引されるよう、公的な機関が調査した適正な(正常な)価格の指標として毎年公表しています。
ここでいう「正常な」とは、一刻も早く売り急いだり、あるいは購入希望者が殺到したりという特別な環境ではなくふつうに売買が成立する価格のことです。

公示地価と基準地価、これらの2つはよく似ています。おおまかには以下の通りです。

公示地価基準地価
機 関国土交通省 地価公示都道府県 地価調査
評 価1月1日時点7月1日時点
公 表その年の3月その年の9月
調査数全国2万3,000カ所の標準地全国2万カ所以上の基準地

こちらの公示価格のデータは国土交通省の土地総合情報システム「標準地・基準地検索」から見ることができます。
もう、新聞の記事を保管しておかなくてもよくなりました。(いつの時代の話!)

ここで「あれ?もうひとつなかったっけ?」と感じた方、そうですね。「路線価(相続税路線価)」というものです。
こちらは国税庁が発表する相続税や贈与税の基準となる価格です。路線価図は国税庁のホームページで見ることができます。

ただし路線価図は道という道を1本1本について価格が記されているのはとてもいいのですが、ページが細切れで目標となる建物や施設が全くないのでGoogleマップやカーナビを見慣れた人にとっては多少場所を照合しにくいかもしれません。

この路線価は公示地価の約80%の数字と言われています。良ければ参考になさってくださいね。

実勢価格とのちがい

実勢価格とは、実際に取引される売買価格、つまり当事者同士で決まるものです。
ですから売る側・買う側のさまざまな事情、その他社会情勢なども含めた要因が色濃く反映されます。

ウチと同じ大きさ築年数であるお隣が2,500万円で売れた、といってウチも全く同じ条件ということにはなりません。

不動産は1件1件すべて異なることはもちろんですが、極端に言うとその地域・場所、しかもそのタイミングでピンポイントで探していた人がたとえば1組だけだったら、お隣を買ってしまったら次の希望者はいつ現れるか、ということです。希望者が現れるまでそのまま待つか、ある時点で値下げするか…

または逆にお隣を買いそびれた人が複数いて少し高く2,600万円でも取り合い(実際は先に交渉に入る順)になるかもしれませんしね。そうしたら更にもう少し高く出してもよかったんじゃないの?って思ったり…

しかしここでお隣が本当は2,800万円で売り出したかったが、実は早く売りたくて目につきやすいように安く売りに出していたとしたら…

このほんの数行ですでに2つも3つも価格が出てきてしまいました。

でもそこで収まっている数字の範囲はどのように…ここに関してです。
500万も1,000万も差があるかといえばそうでもない、この基準がどこかにあるとすれば?
一概には言えませんが、実勢価格は公示価格との差が「だいたい1割~2割足したあたり」とも言われます。

もし、上の例の人たちの近辺に、かなり近い条件の土地の公示地価標準地があったとして、そこから条件を加味して計算された金額が2,350万円だとしましょう。
ここに出てきた2,500万円や2,600万円、2,800万円といった数字はこの公示地価を目安にした金額の範囲とほぼ一致します。(あくまで例えば…の場合です)

公示価格を参考にするとしても、土地の形状や接道間口、駅からの歩行距離・周辺環境など、土地の価格に影響する要素はたくさんありますが、目安として十分みなさんも活用できるのではないでしょうか。

まとめ

ネットをはじめとしてあまりにいろいろな情報が多すぎる現代ですし、しかも自分の都合の良い方の情報を信じたくもなります。
○○沿線では高値でも飛ぶように取引しているらしいとか、やがて暴落するから今が売り時だ、あれは得これは損という具合です。
このような情報と現実に起こっている事象との照らし合わせが難しいかと思います。
いざ行動を起こそうとする時、いちばん知りたいと思うところは最低限この価格というラインではないでしょうか。

実際の査定の場面でも公的な資料やデータは活用されます。
具体的な売買事例をもとに、そして数値には表れてこない加減も加味されて査定価格になります。
確かに査定価格も絶対というものではありませんが、より精度が高い結果は期待できると思います。
より実勢価格に近い価格を知るには不動産業者による査定をお勧めします。