
空き家だけじゃない 増え続ける「住宅」
空き家が増えています。
平成25年から平成30年の5年間で全国で約30万戸の空き家が増加しました。
7~8軒に1軒は空き家っていうことですね。
30万戸って全部寄せたらそこそこの規模の街がまるまる空き家だけのゴーストタウンになっているイメージですね。
恐ろしいです…
平成25年 | 平成30年 | 空き家の増減 | ||||||
総住宅数 | 空き家の数 | 空き家率 | 総住宅数 | 空き家の数 | 空き家率 | 戸数の増減 | 率の変動 | |
全 国 | 60,628,600 | 8,195,600 | 13.5% | 62,407,400 | 8,488,600 | 13.6% | 293,000増 | +0.1% |
大阪市 | 1,634,120 | 280,740 | 17.2% | 1,675,900 | 286,100 | 17.1% | 5,360増 | -0.1% |
淀川区 | 114,860 | 19,770 | 17.2% | 117,870 | 19,730 | 16.7% | 40減 | -0.5% |
でも、住宅総戸数全体に占める空き家の割合は少し上昇したか、もしくは僅かながら減少?
全国の空き家率より高いものの大阪市では-0.1%、ここ淀川区では-0.5%。
そうです。
人口・世帯数減少の局面にもあるというのに住宅がまだまだ新しく供給され続けているのです。
増えた住宅が空き家の増加分を数字上薄める働きになっています。
5年間で約180万戸もの住宅が増加。
依然高い新築信仰がこの数字からも見てとれます。
新しい安全で良質な住宅が増えることは別に悪いことではありません。
地震をはじめ災害の多い日本で建物の被害から命を守れる可能性が高くなることは良いことです。
問題は老朽化したり需要の減った既存の住宅の「空き家になった後のこと」に対する方策が出来てこなかったことです。
たとえ誰も住まなくなった空き家に対しても、居住用資産の税率の軽減が適用されるので、空き家をそのままにすることがいわば当たり前になっているのです。
わざわざ解体費用をかけて税金が高くなるようなことはしませんね。
税金が高くなる?⇒「もともとの税額」になる
空き家になったとしても、近い将来利用することが明らかだったり、また管理が行き届いていればよいのですが、面倒見切れない場合もあります。
放っておくとご近所周りにいろんな影響が及びます。逆の立場で考えるとよくわかります。
隣が空き家だとそこを介して侵入されないか、人為的あるいは経年劣化また自然災害で火災の発生や倒壊、そこまでいかなくても樹木や草が伸び放題だったり、動物が住み着いたりスズメバチが巣を作ったりしても大迷惑です。
いよいよ国は平成27年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」を施行、空き家対策を強化しました。
その中で管理状態が不十分な空き家は「特定空き家」として指定されます。これが固定資産税が”6倍”になるといわれているものです。
要は住宅の建っていない更地と同じように「住宅用地の軽減措置特例」には該当しませんよ、ということです。
ただ、空き家だからといってすぐにそうなるわけではありません。
(特定空き家になる条件)
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(流れ)
step1.空き家の情報
step2.自治体が調査して所有者へ問い合わせ
step3.助言・指導
step4.従わなければ立ち入り調査
step5.特定空き家と指定
3の助言・指導において改善されれば指定からはずれます。
たいていの方は「ま、そこまでは放っとかないだろう…」
ところが2021年度から神戸市は一歩踏み込んで、「明らかに空き家」という時点で、住宅が建っている土地が税率を下げてもらえる、固定資産税・都市計画税の計算上の「住宅用地の軽減措置特例」から除外することにしました。
【面積200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)】 課税標準額=固定資産税評価額×1/6 ☚ココ
【面積200平方メートル超の部分 (小規模住宅用地)】 課税標準額=固定資産税評価額×1/3
本来その金額であるものが家屋があれば住宅用地としてオマケします、がなくなるわけです。
俗にいう更地にすると高くなる、と同じです。(もともとある課税標準額になる、ということです)
逆にいままでは家屋が建っていれば税額の軽減(オマケ)があるせいで空き家が放置されやすい状態だったのは明らかで、今後このような考えの自治体が増えていくことは考えられます。
親世代とは別世帯で住んでいるような場合は、将来空き家になる可能性がある実家など、だれでもこれから身近な問題になってきそうです。
現に空き家で困っている、将来空き家の問題が出てきそうだ、どうしたらいいかわからないという方、まずはお近くの窓口(自治体、不動産業者など)へ相談からはじめてみてはいかがですか?
(固定資産税・都市計画税は1月1日が基準日です。)