私たちは毎日、テレビや新聞、インターネット…さまざまな広告に触れています。
近頃ではいろんな商品が値上げするとあって「今だけお買い得」「表示価格から20%引き」「もう1個プレゼント!」なんていうフレーズに敏感ですね。

では、不動産広告についてはどうかというお話です。

禁止されている用語

世の中これだけいろいろ消費者の心をくすぐることばがあふれかえっていますが、不動産広告はその使用が厳しく制限されています。

規制を受けるのはいわゆる「居住用」のための物件の広告※です。新築中古問わず住宅とその用地、売買・賃貸いずれも対象です。
(※ネット・チラシ・新聞・雑誌・パンフレットなど)

冒頭のフレーズはいずれも物件広告では見ないですね。
あったらあったで怖いですが、きっとあなたも不審に思うでしょう。

全く手落ちがないような表現「完全」「完璧」「万全」などはまず絶対アウトです。あ…「絶対」もそうです。

事実を裏付けるデータがあるか事実に反していないという条件付きで一応使用できる(用語によって事実関係を合わせて表示しなければならない)のは以下のようなものがありますが、今日もどこかで見かけませんでしたか?
でもよく見てください。その広告にちゃんと根拠が示されていて明らかになっているはずです。
例に挙げたもの以外でも同じ意味のことばは使えませんし、また、やたら外国語に置き換えるのを好む人もいますが、言い換えても当然逃げられません。

これらは合理的な根拠がある、もしくはその根拠もいっしょに表示しないと使用できません。

  • 「当社だけ」「○○エリア初」「抜群の○○」など他社または他社物件と比較し有利な感じに思える表現。
  • 「特選」「厳選」…とある基準より選別された意味の用語。
  • 確かにいいかもしれないが…「最高」「最高級」「極」「特級」最上級を表す言葉。
  • 人間これに弱い!「買得」「格安」「激安」…安い印象を与える言葉。
  • 「完売」などとても人気が高く、次もすぐ売れてしまうかも…というフレーズ。

それに、たとえば単に「値下げしました!」はいけません。
では、前の価格に横線で消して赤マジックで書きなぐって新価格を表示する?…ダメです。
ここでの決まりは値下げ前の3か月以上の期間、販売価格が公表されて実際に販売されていたことと値下げの時期を記載することです。
正しくは、(例)
価格改定 中古マンション○○ 3,280万円 → 2,980万円
(旧価格での販売開始時期:2021年12月1日、価格変更日:2022年3月1日)
と なります。

意図しなくても…

最近の広告で昔と大きく異なるのがネットの存在です。
新しい情報が瞬時に公開され誰でも見ることができるのはやはり便利で素晴らしいと思います。
物件の情報収集なんかは本当に便利になりました。

しかし、ここに業者としてはピリピリするところがあります。
更新を怠って契約済みの物件が残って掲載されていると「おとり」と判断されかねません。
これだけあらゆるネット広告に老若男女問わずふれられるご時世ですから一般の消費者からすればふつうの通販同様「在庫あり」が掲載されているという認識があります。

意図的な「おとり広告」、そんなつもりがなくても「取引できると誤認されるおそれ」があるだけでもダメなのです。

リアルタイムで自動的に削除されれば問題ないでしょうがそこはそうはいきません。
他社扱いの物件は特に、確認と管理に要注意なのです。

また、物件概要の入力時の誤字や、ほかの資料のコピーを転用したりした場合、出来上がった広告や資料が実際の状況と異なってしまったりします。

手書きの時代(?)にはほとんど起こりにくかったミスです。
大事な項目が消去されて抜け落ちてしまう可能性だってあります。

それに加えてサーバーや何らかの不具合によってパソコン・スマホの画面に正しく表示されなかったときもすべてではありませんが業者の落ち度とされる場合があります。

まとめ

よく目にするチラシやネットの不動産広告について少しだけふれてみました。

でもお察しの通りこれだけではないんです。
消費者の利益を守り、業者同士の公正な競争のため、上記のほかにも広告開始の時期の制限や必要な表示事項、用語の使用基準などが定められており、そのうえでこうした媒体が出来上がっているんです。

これからちょっと違った目で広告を見てみませんか…。