(公図イメージ)

道路に面しているのに?接道なし?とは…

一件の土地の売却を相談されました。
さっそく現地を見に行くとメインの通りから数十メートル入ったところにある、第1種低層の20区画ほどの住宅地内。
キレイに整備された6m道路にフラットなアクセスの、現状更地。最寄り駅まで徒歩10分。
見た目これだと申し分ありませんよね。

ところが調査するうち「?」なことが。
市役所で道路を確認すると幅員4~6.0mの市道。公共下水本管も通っています。
次に法務局へ。公図、地積測量図‥あれ?公図の道路部分、まるで歩道のように敷地の前に細長い線が通っています。
図面上およそ50cmの幅で。
それはその一帯の複数の区画にまたがっています。当然、前面道路部分(とみられる)の所有者は調べます。
どうせ市の所有でしょ、筆(土地の地番)が分かれているからそのぶん所有者確認に閲覧の証紙代がかかるじゃないか!くらいの感じで本件敷地そして道路部分の閲覧をすると…
本件土地の所有者はもちろん「依頼者本人」。道路部分の真ん中寄りは「市」の所有、じゃそのあいだの細長いのは…
「○○建設株式会社」。

あらためて現地へ。メジャーを当てて敷地と道路部分を計ってみると、敷地はぴったり。
アスファルトに舗装された幅6mのうち路側50cmずつがどうやら「○○建設株式会社」名義の土地。

出ました。うわさでは聞いたことがありましたがここで出会うなんて。

要は他人の土地をまたいで市の所有する道路に面するわけで、その細長い土地があいだにあることで依頼者の土地は道路に直接面していないことになります。

見た目は道路に面しているじゃないかと思われますが、そこに他人名義の土地がある以上、「接道の義務」が満たされているとはいえず、たとえば敷地に入るにも通行の許可、上水道や下水道の引込み・接続のための掘削も所有者の同意承認がいることに。

周囲の家が当時どういう経緯で建てられたかはわかりませんが、この状態ではおそらく「再建築不可」です。

            ▶再建築不可の記事へ

役所もあいまい…


事実は事実なのでこの土地が建築可能かどうか、そして通常の相場で売れるか、です。
市役所の建築指導課と道路課へ向かいます。

市:そうですね、「他人地」があいだにある以上、そうゆうことになりますね…
そうゆうこと? 現状建築不可ってこと?

(え… 市道としての認定はどこまでどの幅なの? 現況は現地で確認しろ? 底地所有者まで見てない? じゃ同じアスファルトで市の所有でない土地まで「勝手に」舗装する?)

いちど踏み込んだこの案件、依頼主のためにもこの「グレー」な部分、すっきりさせないと。

とにかくまず、この帯状の道路の一部のような土地の所有者「○○建設株式会社」の見解を確認したいが一体…

その会社は隣の町で営業していますから、しようと思えば簡単に連絡はつきます。
しかし、相手がこのことを知らずに放置して忘れているだけだったら、かえってやぶ蛇になるかも…です。

だれか知人からつながる方法はないか…、あたってみると運よく直接その会社をよく知っている人がみつかりました。
その方を介して紹介いただき、先方へ訪問しました。
そしてなんと快く一切の費用の要求もなく、市への移管を承諾してもらえることになりました。

無事売却へ!

なんらかの覚悟はしていたので売却依頼主にもしもの費用がかかるかもしれない前振りはしていましたが、このような結果になりよかったです。

この土地は晴れてようやくきれいな売物件となりました。
もちろん、周辺相場通りの値が付きます。

売却活動も順調に、やがて売買契約に至ることができました。いまでは新しい所有者のお家が建っています。

普段何気ない景色のなかにもパッと見ではわからないストーリーがあったりするんですね。