住まいから始める終活

「終活」

このことばに人それぞれとらえ方があるとは思いますし、意に反してどうしても無理にしなければならない必要もありませんが…。

いつかは訪れる時に向かって身の回りの整理をする、というところから考えてみます。

とはいっても、いったい何から手をつければいいのかわからないものです。

実際、まだ本人自身が少しの衰えを感じながらもふつうに生活できていますから、そして何より実感がわきません。

しかし今までいろんな人を見ていて思うのは、住まいについてはけっこうタイミングを逃したのではないか…ということです。

定年で退職し年金生活になる頃、まだ元気なうちに住み替えを考えたという方も多いのではないでしょうか。

たとえば子供が大きくなって独立したあと、使わなくなった部屋がたくさんあるにもかかわらず広い家に住み続けて庭や家の面倒まで年とともに見れなくなってしまったパターン。

いつかは子供が戻ってくるかもしれない、もしくは孫を連れて帰ってきたときには余裕のある部屋数を置いておきたい、という気持ちもわかります。

慣れ親しんだ近所のお付き合いや、何よりたくさんの思い出の残った家を離れがたいのも事実です。

同居ではないケースとしては、

  1. これから先も暮らしやすく、家をリフォームする
  2. 近隣で小さな(現状に合った)家、マンションに住み替え(買い替え)る
  3. 自宅を売却して高齢者向け物件に入居する

など…
これらいずれの場合も、元気なうちに住まいのことに手をつけることによって、やや半ば強制的にモノの整理をしなければならなくなりますし、むしろチャンスと捉えると良いでしょう。

しかし、個人的な実感としてはそのまま動かずにそこに住み続けた、がいちばん多いと思います。

結果、突然訪れる瞬間に今まで残したすべてのことを身内の世話になってしまっています。そうなりたくないと願いながらもこのような方がとても多いのです。

これから先も暮らしやすく、家をリフォームする

将来を見越して家を直そうとなると難しい面がたくさんあります。
たとえばバリアフリー。せっかくよかれと思って手すりを取り付けたり段差を解消したりしたものの、想像していた体の実情と合わなくなってしまった、なんてこともあります。

ですからここは「いつかそのようにもできる状態」を準備しておくのが良いでしょう。

提案されるままに行き過ぎたリフォームは、生活感が出すぎてしまい、見た目にもよくなかったりします。特にまだまだ元気なうちは逆に気力が老化します。

バリアフリーはとても大切なことですが、それがさも最善で必須であるかのように叫ばれていた頃、良かれと思って設備を充実させた住宅がクセが強かったのか、思うように売れなかったことがあります。

こだわり抜いた独特な間取りの注文住宅が普遍的でないために、いざ売るときになるとかえって売りづらいのと同じように、さわり過ぎた高齢対応は幅広い客層へのアピール力が弱くなります。

まずは、いまいちどその家の良さを見直して生かすことの方が重要でしょう。

せっかくの採光面をふさぐような家具配置であったり、むしろ使っていない部屋(客間)の方が暮らしやすい条件が整っていたりしませんか?

移動をしやすい動線に使い勝手をよくして仕切り直す、また断熱効果を高めるなど夏の暑さ・冬の寒さ対策に重点を置く。

健康に配慮して過ごしやすい家、じつはこれって結局どの世代・どの家庭にも共通する、基本的な‌快適な住まいへの道すじなんですよね。

これがもとでいつまでも元気で暮らせるようになれば言うことなしです。
ということは、いつ、今からでも手をつけはじめるに越したことはないと思いませんか。

小さな家、マンションに住み替える

買い替えという行動は年齢的にタイミングというものがあって、いつまで可能かどうかわかりません。

大きな引越しを伴いますし、それよりも家を売却すること自体、経験したことがある方ならお分かりと思いますが、とても労力がかかるのです。

いつまでという期限がないがためにその先に踏み出すことができないまま年月が過ぎ、
あの時こうすればよかった、しかも明確に何歳のときに…なんて後悔を口にされるのを耳にします。

行き先の物件を決めるのは若い時とは違って制約が多くなるでしょう。

慣れた買い物や通う病院など生活圏の継続維持や、物件自体の階段など玄関までのアプローチ、室内の造作などであとから変更できない箇所があったりすると、なんのための住み替えかわからなくなります。

慎重に探したいところですから、余裕があれば段取りとしては先に購入したいところです。

また買い替えることによって、もしかしたら放置していた登記の名義や住所の変更が見つかってもこのときに解決できます。

思い立ったら身の回りから

「終活」をとくべつ意識しなくとも、住まいに関して普段から健康に配慮しながら、身の回りの整理整頓をして暮らすことはやはり大切ですね。

ただ、体が充分思い通りに動けるうちにしかできないこともありますから、早いかな…と思えるくらいで「終活」について計画・検討してみましょう。